6月21日のこと。

髪を切った。初めて行った店だが、初めて納得のいく仕上がりになった。今まではどれだけ妥協していたか。
私は、私自身が酒を飲めることを幸福に思う。酒が飲めない人には分からないかも知れないが、それは他人の事情である。私にはどうすることもできないし、第一、私には関係の無いことだ。私は、誰かに迷惑のかからない範囲で、本当の意味でそういった範囲で酒を飲むのである。そうしなければ、私は私から逃れることが出来ない。
私の住むのはとても深い山の中であったが、それでもわりとすぐに海まで到達してしまうという、何とも説明の難しい土地であった。梅雨に入ったというのに雨はほとんど降らず、私の車のフロントガラスは砂に曇っている。今の私と同じように。
あれだけ憧れであった海が、まさか毎日の事になるとは思わなかったし、まさか、私にとってある意味を持つ重要な記号になるとも思ってはいなかった。嫌いにはならなかったが、私を無痛のまま責め続けるのは確かだった。
何もかもが甘やかで、だからこそ毒を持っていて、それは今まで言葉で発してきたのだけれども、やはりそれは事実であって、私はこれまでに無いくらい、長い期間をかけて、ゆっくりと涙を流しているのである。全ては、誰にも知られずに、海に届く前に枯れてしまうけれども。
いつか終わるのだろうか。始まるのだろうか。