2012-01-01から1年間の記事一覧

酩酊日記。

どう転んでも好い、などというのは口実であって、勿論好い方向に転ぶに越したことは無いのである。それが分かっていて私たちは当たり前に予防線を張り、そして当たり前に敗北してゆく。生活の上での勝率は何に喩えられよう、天文学的な数字さえそこには定義…

酩酊日記。

遠くに星がいくつも出ていて、私は夜を自分の中に認識する。こうも明るい都会に住んでいては、夜は畏敬の対象ではなく、ただ寝るだけの時間帯である。闇の輝きを、人はどこへ忘れてきたのだろうか。今でも私は生まれ育った土地の、夜に潜む安心感と、それと…

砂の夏

地面を含め、およそ表面の名の付くものが全て砂になったような心持ちだった。その砂はざらざらというよりは、砂丘にあるようなさらさらとした、きめの細かい優しい質感を持っていた。かと言って実際にそうなったわけではなくて、あくまで私の想念の中での出…