母から手紙を貰うのは、もう、多分何年振りという次元の話なのだろう。 そこまで郷里を遠くに追いやっていたわけではなかったから、実家の事情は好く分かっていたし、取り立てて大きな事件も聞いてはいなかったし、だからこそ、手紙の文面には真新しいことも…
そこに風の一つも吹いていれば、まだ静か過ぎずに済んだのだろう。何もない草原を想像してみる。空は自然な空の色をしていて、雲は無い。空色が地平の向こうまで垂れ下がっていて、そこから足許まで、そして私を通過してまた向こうの地平まで、ずっと若々し…
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