空気。

関係性というのは一度こじれると、大体がもうそこで終わりというか、そっからまた直して、っていうのは大変な労力と時間が要る、というのは当たり前なのだったけれども、まぁ、殊に男女関係なんていうものは、一回終われば基本的にはそれで終わりなのであって、次、ということになる。いろいろ本当に面倒というか、こちらの落ち度もまぁあるのだけれども・・・。
いろいろ疲れたので空想をしようと思う。
荒野、ずっと続いていて、植物や建物は何もない。誰もいない。私は景色を見ているが果たして個体としての私がそこにあるのかは分からない。空は紫色をしていて、あちこちから無数の灰色の雲が垂れ下がって地面に突き刺さっている。無表情の地面。雲が突き刺さっている部分からはたくさんの亀裂が縦横に走っていて、何かのガスが吹き出ている。ガスは虹の色をしている。強い毒であるはずだったがそれはとても綺麗だった。私は近づこうとはしない。自分から危険に近づくほど、私は器用ではなかった。危険のすぐ足元に大きな利得はあるのかも知れなかったが、それは仮定であって、危険はまず危険としての姿を持っているのだった。私は静かに目を凝らしている。遠くでかすかに、何かと何かがぶつかるような音がした。また一筋、雲が地面に突き刺さったのだった。私はその景色を想像する。肉眼ではここからは見えなかった。想像する。そしてめまいと同時に私の頭上に雲が。