真夜中の前後

世間は、いつでも決まって夜に飲み込まれるのであった。
その日は、昼間にたくさんの雷が鳴って、私は部屋の中で湿った暑さと戦いながら無為に過ごしていたのだったが、年代物のアパートの屋根や壁は私を死なない程度に守っているだけであって、それは生活の水準の話であって、私は何も生み出すことなく、失う一方の力学を以って時間を消費しているのである。平等、という言葉の意味を考える。与え「られる」、という文言の意味を考える。
雷に続いて、さほど長くない時間、激しい雨が降っていた。それもいつの間にか止んでいた。取り残された、という感覚はない。天候は、いつでも決まって私の都合になぞ関与していないのだったから。自由、という言葉の意味を考える。無頓着、という言葉の意味と、そこに含まれるある優しさについて考える。
夕方になると、しっかりとした夕焼けが展開している。私は少しだけその風景を、気持ち悪い、と思った。