ある夜3。

やはり夜は訪れるのである。またやはり、酒気はもう退散していて、しかし、そしてまたやはり、微量ながらもアルコールに洗われたであろう私の脳髄は、いつ果てるともないような、例えば神話や昔話に出てくる超科学を誇った巨大都市、空中都市、海底都市など、それらは必ず一夜にして滅びるのだけれども、そういった類の風采を持った、つまりどんなに理論を積み上げても、それがいかに前衛であり、私の望むものであり、手の届くと言うよりはむしろ簡単に握りつぶせるくらいの立場に立てる、そういった私とその私の脳髄を浸食した何かとの関係性がそこにあるとしても、私の脳髄は、とても「脆い」建造物しか吐き出せないのである。文字にして2文字の「脆い」という修飾を、私に降らせているところの侵食された私の脳髄は、いつ清浄になり、またいつ正常に生活を営むだけの機能を、昨日にも増して、ほんの僅かでも好いから豊かな文化を編み出すことのできる体制を、欲を言えば一角(ひとかど)の芸術でも残せるだけの連絡を持った組織を持つことができるのだろうか。
朝を待っていたって何も解決しない。積極的に夜明けを獲りにいかなければならない。